授業の腕を上げる法則 向山洋一 著
授業の腕を上げる法則 向山洋一 著
1.授業の原則
一度に一つの事を指示すること。
指示は短く、具体的であればあるほどよい。
指示は全員にする。
手に何か持っている状態で指示をしたのは指示をしたうちに入らない。
おへそを前に向けさせる。
途中で指示の追加はしてはいけない。
最後の行動まで示してから、動かす。
こどもに活動をさせるときは場所、物、時間を与える。
こどもに問題を問う時に考える時間を十分に与えているか。
資料を示し発言を求めるなら、『資料を見る時間』と『考える時間』を与えているか。
また、作業をさせるなら作業ができる場所づくりが必要である。
跳び箱の指導
跳べない子はだいたい箱上での体重移動の感覚がつかめていないだけ。
なので、まず跳ばせずに箱上で馬乗りになった状態から降りる動作で体重移動の感覚をつかませる。その後は、跳び箱を跳ぶときにおしりを手で支えてあげる。そして、だんだん支えをなくしていき、最後は一人で跳べるようになる。これでも跳べない場合は、この一連を繰り返す。
できの早い子、遅い子がいるなら早い子用に追加でやることを用意する。空白の時間を与えてはいけない。
全体に課題を与えた時は、時々達成度を確認する。
全体の改善指導をする場合。
全体に部分の問題点を上げても、生徒は『自分じゃない』と思って、意味がない。
誰ができて、誰ができていないかをはっきりさせた方が改善する。どこがなぜいいかという具体的な評価をするべきである。
もので子供を動かしていては、ものがなくなると子供はとたんに動かない。
それよりも知的好奇心から、やる気にさせて動かすべきである。
やる気にさせるためには『はげます』ことが一番である。
教師の仕事は、こどもが持っている欠点を克服するよう絶えずはげまし続けること。
2.教師の技量
こどもに好かれる教師とは。
明るく、優しく、公平で知性的
知性的とは知識をひけらかすことではなく、知的好奇心があること。また、主語・述語のはっきりとした文章をかけること。
そして、教わりたい教師とは上記の点に加えて、教える技量がある先生。熱血な指導でできないことをできるようにしてくれる先生である。
伸びる教師の共通点
・こどもの成長を左右する、教師の仕事の恐ろしさを自覚していること。こどもができないことを自分の責任と考える謙虚さを持っていること。
・素直であること。素直であれば周りの人からの『よかった』、『わるかった』の意見をしてくれる。このようにして他人の経験が流れ込んで、いつのまにか成長しているのである。
・知的な人。勉強や研究熱心で知的好奇心があること。
3.授業の腕を上げる法則
研究会に参加するのももちろんいいことであるが、一番勉強になるのは自分でサークル・研究会を作ること。ただし、どんなことをしてもサークルに出席するという熱意のある人が三人は必要である。
そして、サークルは一度に大きくなることはない。求めている人が年に1、2人増えればそれでよい。第一、規模は10人程度でよく、15人もいればかえって機能は減退してしまう。
定跡を学ぶこと。
定跡とは長い時間と一流の人たちの努力から生み出された、一つの問いに対する最良の解決手段。素人はまずこれを数多く学び、その時々に応じて組み合わせたり、改変して臨機応変に使う必要がある。
これは、『守・破・離』とも言える。
守は師の教えを守ること。破は自分なりに改変しながら使いこなすこと。離は師を離れて自分の方法を研究すること。
教育書執筆の成功の秘訣
面白くて、ためになる
この二点を満たす必要がある。面白くないならばそれは苦痛である。ためにならないならそれは時間の無駄である。