アフリカゾウ 密猟の歴史と現状

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【シリーズ:象牙とアフリカゾウ】野生のアフリカゾウをめぐる現状 |WWFジャパン

 

陸上最大の動物、アフリカゾウは一年間に約2万頭が違法に殺されているといわれている。アフリカ大陸37ヵ国に広く分布するアフリカゾウは、政治情勢が不安定だったり内戦中の国々では監視が難しいため、象牙を高値で売って武器を購入するための密猟が行われてしまっている。また、国をまたいで移動するアフリカゾウはある国では保護されていても別の国では殺されてしまう、という事例も存在する。

 

アフリカゾウの生息数は2016年のデータでは42万頭であった。

 

アフリカゾウの生息数はアフリカ全体では減少を続けているが、実際に保護活動を行うのは政治情勢が不安定なため中断になってしまったりと非常に困難である。

 

 

2.

【シリーズ:象牙とアフリカゾウ】象牙をめぐる歴史 |WWFジャパン

 

アフリカゾウ象牙はオス、メスの両方にあり、土や木の根を掘るための他、メスを巡る戦いのためにもつかわれる。

象牙は頑丈でいて加工しやすく、白く滑らかで貴重であったことから昔から人々は高い価値を見出した。

古代、中世までは自然死した象から象牙を採取するのが一般的であったとされている。

それも、当時はまだ銃器などもなく生きた象を狩るのが容易ではなかったためである。

 

資源、及び狩猟対象としてのアフリカゾウ

 

アフリカゾウ象牙の歴史が大きく変わったのは16~18世紀以降、大航海時代でヨーロッパ人が世界に進出してからである。

 

ヨーロッパから来た商人はアフリカの象牙アメリカへ運び、砂糖、コーヒー、タバコ、綿花などと交換してヨーロッパへ持ち帰る通商ルートを確立させた。特に、西アフリカは大西洋に面し、ヨーロッパ、アメリカに近いことから中心地となった。実際、西アフリカに位置するコートジボワールという国の意味は“象牙の海岸“である。

 

さらに、19~20世紀に銃を用いたハンティングが全盛期を迎え、その戦利品として取引されるようになったことから象牙の取引量は爆発的に増加した。

 

20世紀後半、世界各国で密猟を禁止し、こうした野生動物を保護する動きが始まった。

最も効果のあった国際的な取り決めが、ワシントン条約 (絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約) である。

 

 

3.

【シリーズ:象牙とアフリカゾウ】ワシントン条約とアフリカゾウ |WWFジャパン

 

1989年にはすべてのアフリカゾウ象牙の商業的取引が禁止された。

しかし、アフリカ南部ではアフリカゾウ頭数がもともと多かったことから商業的取引禁止によってアフリカゾウの頭数が増加傾向にあった。これにより住民との衝突事故や主要な収入源を失ったことによる経済的困難から商業的取引は南アフリカ諸国で限定的に再開することとなった。この間、アフリカゾウの密猟頭数は落ち着きを見せたが、20世紀終わりごろ、アジア及びアフリカの著しい経済成長から再び象牙の需要が高まり、それに応えるように闇市場の取引及び、西、東アフリカでの密猟が急増した。